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【映画レビュー】『ギャラクシー街道』(2015)

「多様性」
この映画を一言でいうと、この単語に尽きる。

西暦2265年、太陽系第5惑星(木星)と第6惑星(土星)の間にあるスペースコロニー「うず潮」と地球を結ぶスペース幹線道路「ギャラクシー街道」。地球とのシャトル停留所があるため、利用者向けに多数のレストランがあり、そのギャラクシー街道の中央にあるサンドサンドバーガー・コスモ店が物語の舞台である。
この映画には、多数の異星人が登場する。月1で脱皮をするアシヌス人、見た目は人間の男性のようなのに両性具有で卵を産むアンゲルス人、地球の平和を守るために派遣されたヒーロー「キャプテンソックス」などなど。彼らと地球人の間で起こる常識のずれが、様々なストーリーを引き起こす。

中でも面白かったのは、地球人が異星人とのデリバリーヘルス(風俗)を利用するシーン。初めて異星人と性交渉をする地球人が、ボーイに病気がないか、と繰り返し安全性について確認をする。しかし、実際に来た異星人の風俗嬢は「あなた、地球人でしょ?どんな病気を持っているか、わかったものじゃない」とまったく同じことを言う。自分本位の考え方しか持ち合わせていなかった地球人を滑稽に映し出したシーンだ。
また、異星人との性交渉シーンも面白い。内容は人間同士のものとは全く違い、人差し指の先端同士を触れ合わせるというもの(E.T.のオマージュであろう)。不平を言う地球人に「これが私たちのやり方、他に何をお望み?」と異星人。これも常識の違いを如実に表したシーンだ。

この映画では、このような常識のズレがマシンガンのように問題を引き起こし、ストーリーが展開される。私は、単一文化で暮らす日本人が外国人や障がい者、性的マイノリティーなど自分と違う人々との関わりに慣れていない様が、異星人と地球人という形に置き換えられると感じた。様々な常識、価値観、生き方、愛の形があり、どれが正解という事はなく、それぞれの違いを受け入れ、特性を認め合う事の大切さを、ポップなコメディーとして表している素晴らしい作品だと考える。

ただし、一つ同意できない部分がある。「宇宙でダメだった人が、どこ行ったって上手くいくわけない」というセリフである。
このセリフはストーリーの流れから考えて、宇宙をメインストリームではない場所、左遷された場所と捉え、地球で成功できない人が致し方なく流れ着く場所というニュアンスを含んでいる。
ただし、私は、これほどの多様性のある宇宙での成功は、地球人の単一文化内での成功よりも価値の高いものであり、本当の成功であると考える。これからの日本でもオリンピック・パラリンピックという直近のイベントだけでなく、ITや交通手段などの発展による世界のグローバル化の中で、今まで以上に多様性が重要になってくる。多様性の中での成功こそが真の継続性を維持できる成功だと考えると、宇宙での活動を地球での成功よりも下に見たようなこのセリフは間違っていると思う。

しかし、全体を通した感想としては、大変によくできた作品だと考える。他のレビューを読む限り、あまり評価をされておらず、興業的にも芳しくないようではあるが、私としては多様性の観点から是非とも多くの方に見て頂きたい作品だ。

最後に、特に私にとって衝撃的だった映画内のセリフを記載してレビューを終える。
「宇宙では片思いで、子を宿すのはざらだからね」

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予告編
公式ホームページ

監督:三谷幸喜
出演:香取慎吾、綾瀬はるか、小栗旬、優香
2015年/日本/カラー/109分
製作:フジテレビ、東宝
配給:東宝