月別アーカイブ: 2015年12月

【映画レビュー】『Maiko ふたたびの白鳥』(2015)

2016年2月20日ロードーショー予定の『Maiko ふたたびの白鳥(Maiko: Dancing Child)』の試写会に招待して頂きました。
世界のトップで活躍する日本人プリマの西野麻衣子氏にフォーカスを当てたドキュメンタリー。日本人が主人公の海外ドキュメンタリー映画は比較的に珍しいと思います。

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『女性の社会進出が進む中で、どんな女性も抱える可能性のある悩み、「仕事」か「母」か……。ここに世界最高のバレリーナにまで登り詰めた日本人女性の出した一つの答えがある。』

15歳で世界に飛び出した西野麻衣子。世界中のバレリーナが集まるノルウェー国立バレエ団に19歳で入団。25歳の時に東洋人初のプリンシパルに抜擢される。順調にバレリーナとしてのキャリアを積んできた彼女も一人の女性として、母親になりたいと思い始める。しかし、競争の激しい世界で、若い世代が着実に伸びている今、出産による長期離脱は出来ないと思った矢先に、突然の妊娠が発覚する。仕事か、子育てか。全ての女性が抱えるであろう問題に、世界のトップで活躍する西野も直面する。
一見すると、バレエ色の強い映画と思われがちだが、バレエに全く詳しくない人でも十分に楽しめる内容である。更に、西野の等身大の悩みは、彼女の肩書に関係なく、全ての女性が共感できると思う。そして、彼女を支える家族の生き方には、男性も考えさせられるものがある。

女性の社会進出を、西野麻衣子という世界トップのバレリーナの視点を借りる事で、少し違った角度から映し出した映画ではないだろうか。70分という短い映画なので、忙しいキャリアウーマンをはじめ、多くの人に観て頂きたい作品である。

監督:オセ・スペンハイム・ドリブネス
出演:西野麻衣子、西野衣津栄
2015年/ノルウェー/カラー/70分/DCP
配給:ハビネット、ミモザフィルムズ

【映画レビュー】『サウルの息子』(2015)

先日、2016年1月23日公開予定の『サウルの息子(SON OF SAUL)』の試写会に招待して頂きました。
本作品が長編デビュー作のネメシュ・ラースロー監督。無名の新人監督にも関わらず、第68回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した衝撃作!107分という比較的に短めの映画ではありますが、全身に衝撃が走る重たい映画でした。

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『登場人物一人一人の押し殺された感情が、映し出されている内容を全て事実だとして受け入れざる負えない重い空気感を作り出している。』

同じユダヤ人を葬るために囚人でありながら、殺されずに働かされている特殊部隊「ゾンダーコマンド(ドイツ語: Sonderkommando)」に焦点を当てた本作品。主人公「サウル」は、自分が担当してガス室に閉じ込めた同胞の中に、自らの息子を発見する。死体となってしまった息子を、せめてユダヤ教の教義通りに埋葬しよう(*)と、周囲と衝突しながら奮闘する。そんな中、仲間たちの間では密かに脱走計画が進行していた……。

特筆するべきは、その撮影手法である。基本的に主人公サウルを常に画面に映し出し続ける撮影手法が使われている。更に、被写界深度が極めて浅いので、彼の背景で起きている出来事の多くがぼやけている。しかし、それによってホロコーストの残虐性を表現しつつ、残虐的なシーンにばかり目が行くことを防いでる。
また、主人公の行動シーン以外がないため、収容所の全体像を把握するのは困難である。人々をガス室に案内するシーン、死体を運び出すシーン、燃えて灰となった死体を川に流すシーンと断片的に死体処理の工程が映し出される。観客も少しずつ情報を得ながら、自分で想像して欠けているシーンを埋めていく必要がある。これは、この時代の混乱の世界感に観客を取り入れるのに素晴らしい効果があった。

ホロコーストをテーマにした映画は数多くあるが、これまでとは全く違った切り口で作られた作品ではないだろうか。

(*ユダヤ教では火葬は禁止されている)

監督:ネメシュ・ラースロー
出演:ルーリグ・ゲーザ、モルナール・レヴェンテ、ユルス・レチン
2015年/ハンガリー/カラー/107分/スタンダード
配給:ファインフィルムズ

浅田真央さんのラジオに出演させて頂きました!

結構前の話になりますが、先日、浅田真央さんのラジオ『浅田真央のにっぽんスマイル』に出演させて頂きました!浅田さんが日本を笑顔にする同年代に会ってインタビューをするという企画です。彼女が現役復帰を決めたために4か月で打ち切りになってしまいましたが、最後のゲストとして出演させて頂けて光栄でした。


上記のYoutubeから私の出演回を聞くことが出来ます。
また、私は試していませんがPodcastでも聞けるそうです。Youtubeが見られない場合は、そちらもお試し下さい。番組開始から7分50秒後くらいに始まります。

実際にお会いした浅田さんは、数時間一緒にいただけにも関わらず、可愛らしい容姿からは想像できないほど、芯が強くて真っ直ぐな人なんだと感じました。収録があったのが彼女が現役復帰を発表する前日でしたので、内に秘めている想いが滲み出ていたのかもしれませんね。最終結果は残念でしたが、復帰した年にはグランプリファイナルに出場するなど力は健在です。復帰後すぐに結果を出すのは流石ですね。私も頑張らねば!!